樹齢1000年を超える杉を屋久杉と呼ぶのに対し、人が植えた人工林の杉は「地杉」と呼ばれています。
亜熱帯の気候にありながら、山岳部にはしっかりと雪が降る屋久島特有の環境の中で育った地杉は、千年の杉につながるたくましさや特徴を備えています。
一般的に杉は、水柱と表現されるほど水分を多く含みます。地杉は内地材に比べ、雨の多い冬を越すために油分を含む冬目が育ちやすく、水分量も多いため、ほとんどが重く堅い材に育ちます。また、雨風によって鍛えられ、しなやかに育つ半面、暴れやすく、乾燥や加工に手間がかかる分付加価値がつけやすい材ともいえるでしょう。木肌は、並べてみた時に洋菓子を連想するようなユニークさがあり、あかみ、くろみの濃さが目立ちます。なんといってもその甘い香り。普段杉材に携わる方でさえもうっとりとするほどです。とっても喜ばれる芳香作用があります。
平成25年、地杉は地域資源として公認され、これからの活用に大きな期待を寄せられています。
近年の屋久島の建築において、当初、島内材の活用が減少していたために木材の利用の島内普及再生を図ろうとはじめた私たちの取組みですが、木材の性質や働きを調べるにつれ、ヒトの暮らしに役立つ多様な製品開発が期待できることがわかってきました。
わたしたちの暮らしをより豊かにするものづくりを、島内生産・製作し、何よりもここでしかつくられないものを、みなさまへお届けしたいと思います。