第11回 地杉の集いの開催ご報告

第11回 地杉の集い開催お礼とご報告:

新庁舎建設の先に見えるもの -地域循環できる産業のあり方-
4月8日(金)18:00~20:30
屋久島環境文化村センター大型映像ホール             
司会 内室二郎(くすのきガレージ)竹之内徹(YAKUSHIMABASE)             

開催の挨拶を屋久島大屋根の会の堀内直哉氏が行いました。屋久島町の新庁舎建設が、屋久島の杉材で行われることが決まって開催する初めての地杉の集いとなりました。屋久島の木材の島内利用と地域経済の循環を呼び掛けてきた当会にとって、建設検討委員会に関わっている立場としてスタートラインに立つ想いで新庁舎建設に臨ませていただきたいと思います。             
また、同時に屋久島町民の声が調和される街づくりが行われる庁舎にならなければならないと考えて、今回の地杉の集いのタイトルを、新庁舎建設の先に見えるもの -地域循環できる産業のあり方-としました。             

始めに開催の挨拶を、屋久島大屋根の会の堀内直哉氏が行いました。屋久島の新庁舎が地域材で建設されることが決まり、私たち町民自身がそれぞれに今できることを改めて考えなおす機会ではないかと考えています。新庁舎は役場の建物ですが、街づくりは役場職員任せでは発展し得ません。私たちの一人ひとりの声を主張して、行動し続け調和することが、街づくり、地域御輿につながっていくと考えます。             
本日は、是非皆さんと一緒に、新庁舎建設が成功した先に見えるものをテーマに、将来の屋久島について考える時間になればと思います。と語った堀内直哉氏。             

次に、「屋久島の森林文化による過去と未来」について、鎌田道隆氏に登壇頂き公演を行いました。幕府や薩摩藩も欲しがった豊かで価値の高い木材資源がこの屋久島の歴史にあったこと、またそれは屋久島の人々は自由に用いることができなかった事を挙げ、屋久島の木材をしかも公共の建物に島内で使われる時代が来たことを誇りに思うと話されました。そして、島文化の象徴である各集落の自立を集結する役割を新庁舎に期待したいとお話されました。             
全行的に豊かな日本の森林の歴史、都市建設の度に森の木が伐られてきたことを例に挙げ、屋久島には里山にも屋久杉が植生していたのではと考えられており、伐採尽くされたので奥山の屋久杉伐採に着したのではないかというお話もされました。先生は屋久島の楠川のご出身なのですがが子供のころは、奥山の屋久杉の苗や穂を分けてもらい、里の畑で育て、それから里山に植林したそうです。里山で育った木は、各集落ごとに存在していた製材所で加工してもらい、自宅の床下や屋根裏に貯蔵し、補修や増築に備えた話も興味深く拝聴しました。             

また、公開討論会も設けました。地杉の香りの性質について研究されている東京大学名誉教授の谷田貝光克先生、植物の個性を研究されている、九州大学院准教授の清水邦義先生、そして町の製材所代表で登壇していただいた工房屋久島の兵頭晶明氏に有識者、経験者の立場から、「新庁舎建設の先に見えるもの」をテーマに、屋久島の未来と持続的地域活性化についてご意見を頂きました。             
谷田貝先生は、再生可能な森林資源の活用は、公益機能や多目的価値を確認しながら、地域の森林文化を継承していくべきではないかというコメントがありました。ドイツの林業に関わりがある先生ですが、底では林業教育が小学生から根付いており、尊敬される職業に位置づけされるほどに林業が盛んであるとのことです。             
鎌田先生は、山を大切にするということは、海を大切にし、島を大切にするという教育が重要ではないかという提言を頂きました。植林された木を山主と信頼関係をつくることができるオーナーを島内外から募集して林業活性化につなげるという事も面白いというコメントが印象的でした。             
清水先生は、屋久島産地杉の付加価値を高めるために、他のものと明らかに違うという価値づくりが林業発展につながってくるのではないか。木材の機能性(生理活性)に関する先生の研究から、データをとっても屋久島の杉の人体的作用は著しいものがあり、屋久島に生活されている方は豊富な自然と資源に囲まれて豊かで羨ましく思うという事を熱く語っていただきました。             
兵頭さんが語られた人工杉の長伐期の検討や、温暖化に対する屋久島の森林評価についての再認識するべきではないかという意見については、会場終了後のアンケート集計の結果わかったことですが、会場の皆さんに多く同意を得られるものになりました。今回の庁舎建設においては、地域木材を活用した記念建設物をつくるのだから、島民の志と建設に係るプロセスが大事ですねという前向きなご意見に身が引き締まりました。

プログラム最後の会場からの質疑応答で、パネリストへの専門的な質問が次々と上がりました。林業関係者による森林整備についての質問や、森林資源生産者からは今屋久島の産業に必要なものは何か、さらには学校教育への以後の導入を提案している方による囲碁大会を新庁舎で開催し、全国各地、世界中から島に人を集めて地域活性化につなげたいという声が上がり、今回の第11回地杉の集いが参加された方々の熱意に少しでも触れることができたのではないかと感じました。             
開催にあたり、ご支援ご協力いただいた皆様に深くお礼をお申し上げます。             


開催の挨拶 堀内直哉(トレジャーLLC)

講演会 鎌田道隆氏(文学博士) 講題 屋久島の森林文化と過去と未来

シンポジウム 新庁舎建設の先に見えるもの -地域循環できる産業のあり方-

パネリスト 鎌田道隆氏(元奈良大学学長)、谷田貝光代氏(東京大学名誉教授)
            

パネリスト 清水 邦義氏(九大農学院准教授、兵頭晶明氏(工房屋久島代表)

会場参加者からも熱い提案が上がりました!