人と自然を大切にする循環型社会
平成29年11月29日(水)17:30開場
安房総合センター大ホール
入場料1,000円(ご夫婦ペア一組、学生子供無料)
私たちの使命は、「宝の山」、豊かな森林資源を活かし、地域に循環する経済社会を築くことです。成育された地杉は、林業という経営と技術により産業に生まれ変わります。屋久島の森林の歴史と文化から学び、環境と経済を調和させる屋久島型林業のあり方を皆さんと一緒に考える機会をつくりたいと思い、「自然と人を大切にする循環型社会」というテーマに、第12回地杉の集いを開催いたしました。
今回のテーマにふさわしいお話を伺えると考え、基調講演を藤森隆郎氏にご登壇頂きました。藤森氏は、1963年京都大学農学部林学科卒業後、農林省入省以来、森林の生態系と造林に関する研究に従事、日本各地の林業地を訪ね、森林管理技術の普及指導にご尽力されております。
基調講演の内容は、現在の日本各地の林業実態が詳しくわかりました。地域における林業の創意工夫が不足している事や、都市中心の経済構造を解決するヴィジョンを持っていないので、地域で循環できる森林産業は近年特に停滞しています。上からの支援支持を待つような体制を改め、個々の事業主体や地域住民などの自主的な力を大事に育てる。地域が力を合せてトップダウンからボトムアップへ転換すれば、現状を打破できるのではないかとご提言いただきました。それには自ら学ぶこと、勇気をもって意見しましょう。「屋久島の森林とどのように付き合っていくか」、そのために「屋久島の森林の目標とする姿をどのようなものにしていくか」、それに向けて「どのような森林の管理技術をつくっていくか」という具体的な理論に基づく実践が大事です。とお話をして頂きました。
会場で集めたアンケートからは、もっと多くの町民に聞かせたい講演だった、植えるだけで目標のなかった林業から、質と量を検討した林業が重要だと想った、持続可能な林業を屋久島で行うことができると思った、島の林業の具体的な問題を知りたい、などなどと参加者の皆さんから様々な声を聴くことができました。
屋久島でも豊富な森林資源を地域経済に循環するための仕組みづくりが急がれます。一口に林業振興と言っても、経営や技術的な積み重ねが重要になりますので、林業関係者だけでなく行政や住民、NPOなどの団体が連携し行動しなければ、実現できないでしょう。今回の地杉の集いが、私たちの取組んでいくことの良き教材として生かされていくことを望んでおります。
当日ご参加頂いた皆様にお礼を申し上げるとともに、皆様の今後のご健勝とご活躍をお祈り申し上げます。