つなぐ林業、のこす建築文化、地域の連携。
平成31年2月23日(土)10:00集合
有水製材所→中間区公民館
参加費1,000円(お弁当代含)
地杉がふんだんに使われた新庁舎が間もなく完成を迎えます。これを機会に、今後の地域の木材活用と家づくりについて考えてみたいと思い、今回の地杉の集いの、つなぐ林業、のこす建築文化、地域の連携のテーマにそって準備しました。
つなぐ林業について、有水製材所での原木から製材される地杉の特性について説明しました。屋久島の森林文化を色濃く残す杉の歴史から学び、新しく商品化する「ヤクイタ」について、製材から加工までの行程について説明を行いました。もともと杉は木材というよりも素材としては、生物資源です。食材の貯蔵や保存するための樽であったり生活用品として、昔から使われてきました。
近年、工業製品や機械化される建材用品が多くなる中で、杉の良さが見直され屋久島で成育した魅力的な地杉の良さを多方面に広げる千載一遇のチャンスが今ではないかと、心を躍らせています。今回も、屋久島流木活用のあり方、環境保全と林業のあり方を考える良い機会となりました。
のこす建築文化とは、中間区では140軒の住宅で35軒ほどが空家になっていて、そのうち10軒以上が廃屋、危険家屋となっていることが発表されまています。50,60年前にはもう戻れませんが、古いものを大切に活かして暮らすという、日本の生活文化を少しでも蘇らせたい想いから、古民家を活用することを中間から始めてみてはどうだろうかと、提案させていただきました。
中間は、石工の技術が見事に遺されている風景や、日本の北限と言われる樹齢400年のガジュマルも、七合岳の眺望もすべてが中間集落の宝であります。自然と人との調和。高齢化の中にあっても、若者や滞在型交流人口を増やすことにより、集落の活気は蘇るのであります。ぜひとも古民家を活かした人交流を実現したいものです。
今回の集いで用意した講演会では、鎌田道隆先生による「ヤクイタ」の歴史についてご講義を頂きました。ポルトガルの宣教師が日本語(通用口語)を理解するためにつくった辞書の中に、杉で葺いた屋根の材料について「ヤクイタ」、屋久の島と呼ばれるある島から渡来する板、と記されていたこ史実をご教授くださいました。さらには、藩政時代の山仕事についての島事情や、杉を屋久杉と呼んでいた100年前のこと等、屋久島の歴史を学ぶことができました。
地域の連携で様々な困難を解決してきた昔のことを、現代流に置き換え、各々が世のため人のために力を合せて先人の知恵を受け継ぎながら、後世につないでいくことの大切さを改めて考えることができました。
お陰様で屋久島大屋根の会は、設立から16年になります。今回も地杉の集いに参加して頂いた皆さんをはじめ、参加が叶わなかった皆さんにもご指導を頂けるように活動を続けていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。
皆様のご健勝ご活躍をお祈念申しあげ、御礼とご報告とさせていただきます。